2008年7月31日
訴状によると
1993年12月7日付けで、建設省が堰建設の最大理由としていた治水の必要性について
「88年の着工時、裏付け数字なし」を報道した。
建設省は、長良川下流部で毎秒7,500トン流れる90年に1度の大水があった場合、
河道容量が不足し、「洪水の危険がある」としてきた。
河道容量を増やすために川底の浚渫が必要で、浚渫するには、
海水の逆流を防ぐため、堰が必要との理屈だった。
しかし、この水理計算に重要な役割を果たす「粗度係数」という川底の抵抗の値を84年に一旦算出。
この値で計算すると、この大水でも、安全に流れ、治水上、浚渫の必要性はなくなり、
したがって堰建設の必要がない。
しかし、原告が取材を始めた直後の90年4月になって、
係数の値を別の方法で新たに算出、この値で計算して堤防下2メートルの安全ラインを上回り、
破堤の心配があるとの水位シミュレーションを作り上げていた。
記事は、建設省が新しい粗度係数の値を作ったのは、90年。つまり、
堰着工時の88年には「治水の必要性」を言いながら、その根拠を持ち合わせていなかった。
むしろ、すでに治水上、堰不要を知りながら、着工を強行したのではないかということを指摘するものだった。
同9日付けで、建設省が記者会見で原告の書いた記事を認めたことを報じる
「着工時、把握せず 会見で認める」も掲載した。