2009長良川救済DAYへのメッセージ 
菅直人国家戦略担当大臣


長良川救済DAYに参加の皆様菅直人です。
私もこの会への参加おすすめいただいていたのですが、政権交代の中で、副総理、国家戦略大臣など、かなり忙しくしておりまして、このビデオのメッセージで失礼させていただくことを、お許しいただきたいと思います。

【長良川河口堰問題から教わった地球環境の危機】
もう20年近く前でしょうか。天野礼子さんに引っ張られて何度か長良川にもお邪魔しました。とくに思い出しているのは、あの長良川河口堰のすぐ隣の揖斐川(いびがわ)の両方を、船の浚渫のような装置で土を採った時、ホントに長良川河口堰の土は紫色をしていて、プンと匂うようなヘドロの固まりが出てきた。それに対して揖斐川のサラサラとした砂や小石が出てきて、色んな貝などもいた。そのことを見ただけで、あるいはその感触を手に感じた時にですね、河口堰がいかに水にとってマイナスであるかということを痛感しました。

【新政権はダムや道路など無駄な公共事業をストップし自然再生事業へ転換する】
そういう中で、今回の政権交代がありましたが、本当に大きな変化が起き始めております。前原国交大臣が、さっそくにも、八ツ場ダムの中止を明言しました。もちろん長年地元で苦労された皆様には、生活再建のことはキチンと手当しなければいけないわけですが、私も八ツ場ダムやあるいは川辺川ダムやさらには諫早湾干拓事業など多くの現場を見てきましたけれども、多くの事業は、本当にダムが必要だからダム工事をするのではなくて、ダム工事が必要だからダムを造る、あるいは色々な(公共)工事をするためにあった。つまり使うためではなくて、工事のために工事をする。その結果が、日本中で大きな自然破壊をもたらした、と同時に実は財政の破綻をもたらしてきたということが、今度の政権交代の中で、多くの国民の皆様にも見えるようになったと、思っております。

【グリーン・ニューディール政策とグリーン・イノベーション政策】
まあ、そういった点でこれからの政治はまったく視点を代えて、本当に必要な道路とかダムとかは、最低限の費用で造らなければいけませんけれども、全国で工事のために飛行場を造るとか港湾を造るとかは、もう100%転換をしなければならないと、またそれが可能な時に来ていると思っています。

同時に今思い出すのは、(黒姫山にある)C・W・ニコルさんのお宅にお邪魔した時に、ニコルさんが、自分の家の前の川を(行政が)三面張りのコンクリートにしようとしていた時に「これを止めろ!!」と言って交渉して、自然再生の形の工事になったという話を聞きました。

まあこれからは、単にダムを中止するとか、何かの(公共事業)を中止するだけではなくて、自然を甦らせるそういう自然再生事業を、これを新たな良い意味での公共事業として大いに進めていきたいと思います。これを「グリーン・ニューディール(緑のニューデール政策)」と呼ぶ方もいます。私はそれにさらに「技術革新」も加えて「グリーン・イノベーション(緑の技術革新政策)」ということを進めたいと思っています。

【日本は地球環境を救うリーダーになる】
先日、鳩山首相が国連で25%のCO2(二酸化炭素)削減を宣言されて、その実現に向かっての取組を、私の担当(国家戦略局)ということで指示いただいております。

今地球の60億人の人間で言いますと、ひとり平均4トンのCO2を出しています。つまり(全地球規模で考えると)240億トンのCO2が排出されているわけです。2050年までには、それを半分にする。つまりひとり平均2トン以下に下げなければいけない。今アメリカがひとり20トン、日本やドイツが10トン、中国でもひとり4トンまで来ています。そう考えますと、地球規模での課題の取組が必要になります。私は日本は、技術的にも得意ですし、また緑にも恵まれているので、そういったことをしっかりやって行きたいと思っています。

私は地球を救うのは、植物だと思っています。実は45億年前に地球が出来た時に、火星や金星と同じように、大気は95%以上がCO2だったと聞いています。それが今のようにCO2が0.04%以下になったのは、植物によって、CとO2に分けられて、それによって発生した酸素によって動物が生まれた。ただ最後に発生した動物(人間)が愚かな動物でCとO2をくっつけまくっているというのが地球の45億年の歴史ではないでしょうか。まあそういう点では、植物の力をしっかりと利用することができれば、私は地球がCO2を出さない星として再生できるとこのように思っています。

まあ、そのようなことを思いながら、これからも頑張って行きたいと思っています。また今日お集まりの皆様もそれぞれの立場で色んな知恵を出し、色んな力を出していただき、また私たち(鳩山政権)に対しても、色んな知恵を教えていただけるようにお願い申し上げて、私菅直人からのメッセージとさせていただきます。どうかよろしくお願いします。

了(聞き手天野礼子 採録佐藤弘弥)