「長良川救済DAY」へのメッセージ
「新党日本」代表 田中康夫
どうも皆様こんにちは。「新党日本」代表、衆議院議員の田中康夫です。
最後に天野礼子さんから歯の浮くようなおせじを言われて、あまり私はほめられたことがないので、こそばゆい感じです。諏訪湖というのがありますが、ここに計画されていた2つのダムが棚上げということは造らないということです。造らないことを前提で諏訪流域の河川整備計画を国土交通省関東地方整備局に認可を受けた私からすると、政権交代というのは目的でもなければ手段でもなくて、ただ単に当たり前のことで、なかったのがおかしいということです。そうなると今の状況では、御存知のように、今日から長野市長選が始まって、長野県の民主党が浅川ダムというものをもう一回復活して造るということを公約に掲げている人を応援していて、ここに地方分権の旗手である原口一博さんというのがダムを造る候補者を応援に来るわけですね。
日本では52万社、家族を入れると1千万の土木建設業に携わっている方々がいます。この方々は今のままでは先細りになることはわかりきっている。でも自分達が構造転換できない中で、公共事業は実は、五十嵐さんが小泉政権が誕生した時、「世の中が変わる」と長良川の河川敷でおっしゃいました。確かに変わりました。みんなの生活が苦しくなりました。4割公共事業を削減した後です。4割削減した人たちは福祉に行くのか、有機農業に行くのか、ITに行くのか、海外に行くのか、そんな工程表を示さなかったんです。
今は私も残念ながら政権与党の一員ではありますけれども、ただやめますとか、ただ予算の金額を削りますといっても、これはちっともみんなに希望や勇気を与えないわけでして、アル・ゴアの「不都合な真実」は皆さん御存知のように、アラスカの白クマが氷の上で暮せなくなっちゃうと、危機感をあおるだけではなくて、だからどういう社会の構造にするのか、そのことによってどういう産業構造や雇用が生まれるのかということだと思います。
と思いながらタクシーに乗ってこの会場に来たら、政権交代と書いてあった民主党のポスターが、今度は公約実現という風に書いてあるんです。公約とは、今日この会場に来ている方はおそらく何なんだろうと思ってらっしゃると思うんです。マニフェストに八ッ場ダムと川辺川ダムをやめると書いてあるから、マニフェストに書いたからやめるということで、どういう根拠でやめるのかということは、何も説明してないわけです。今言ったように、山形県でも、香川県でも長野県でも長崎県でも、例外なく地元の民主党選出の国会議員の人は、県営ダムの建設にもろ手を挙げて賛成しているわけです。ダムがいい悪いじゃない、私たちはどういう河川にするのか、どういう治水にするのかというシステムを提示しないといけないと思っています。
それが今回、私が「新党日本」が日本開国宣言と、開く国であって、国の制度を改める宣言。極論すれば道路族がやっている橋脚の橋も1キロの橋だって、今や無橋脚にすることは技術的に可能なんですから、そのことで流木がひっかからないかもしれない、これは河川局の予算で行ない、維持管理に関しては道路局が。もっと言えば、皆さん御存じのように私が知事の最後に行なったことは、台風一過の6月補正で必ず浚渫予算というのをつけました。適度に河床整備をしなければならない所の予算を計上しましたけれども、これはわずか1千万くらいです。しかし必ず地元の仕事になることです。遊水地であったり、森林整備であったり、護岸補強であったり、あるいは河床整備であったり。こうしたかたちを行なうことで、どのような川にするのかというシステムの提示をして、トレッキングコースのような所の県営ダムのような話のものは全部やめていく中で、最終的な最終点はおそらく川辺川ダムや八ッ場ダムの中止。なぜならこれは本体工事も何も始まっていないからです。
しかしながら、皆さんが期待してらっしゃる国土交通行政に携わっている方は、記者会見でこういうことをおっしゃっている。「国が補助金を出す都道府県のダム計画に、特段私から異論を申し上げることはない。ダム建設の入札手続きを止めてくれというようなことを私が申し上げるつもりはありません。」これは会見において、その後撤回した発言はありません。すなわちここにいらっしゃる方がみんな中央集権はけしからん。官僚統治はけしからんと思ってらっしゃると思うんです。地方分権や地方主権であるべきだと思ってらっしゃると思うんです。皆さんも自治体の首長や議員の顔を思い浮かべていただければ、皆さんが願っていること、これはダムの問題に限りません。地域密着型の公共事業はどうあるべきか、地域の産業はどうあるべきだとかということは、口を開けたピラミッドの形だということです。すると川の水は、ダム建設予定地の人たちだけが川の受益者ではないんです。川の水は地球全体の人のものです。私は戦略とか戦術というものが残念ながら現在の政権というものはまだ確立をしてないのではないかという気がしています。
御存知のように、先程五十嵐さんがおっしゃいましたが、県営ダムでも国のダムでも建設費用の7割を国が負担します。地元の負担は3割です。だから、大きな公共事業はうるおうと言いましたが、私が脱ダム宣言を出したのは環境問題からではありません。環境にたいへん関心がある方は多いと思いますが、おそらく都会に住んでいる人や、公共事業をやっている人からすれば、それを言っていては俺の食いぶちはなくなってしまうんです。脱ダム宣言を出した理由というのは、東京や大阪に本社のあるゼネコンに事業費の8割が支払われているんです。地元は3割負担していても、2割しか地元の雇用につながらないということです。ですから、この構図を変えないといけないということが脱ダム宣言なのであります。
今、宮本さんたちと一緒に水循環基本法というのを超党派で出そうと言っています。日本では地下水法というのは、皆さん御存知のようにありません。今起きていることというのは、ヨーロッパ系の会社が水源地の土地を買って、そこから湧水を巻き上げていくということです。地下水法や、水源地の森を国がすべて買ってその水源地を保全することこそ、私は本来の国内の安全保障だと思っています。しかしそうした法律は何もありません。そのことを行なえればと思って今超党派でやっているんですけど、小沢一郎さんは議員立法はいけないと言っています。議員立法がいけないということでこの法律ができなくなると、北海道の鳩山さんの選挙区でもいまだに平取ダムというダムを計画していて、そういうものを続けるためなのかという話になってしまうかもしれません。
皆さんの今までの天野さんを始めとする活動があったからこそ、今日があると思います。しかし政治というのは1回の投票行動によって変わるほど生半可なものではありません。象徴としての八ッ場ダム、川辺川ダム中止ではなく、住民のためにきちんと戦略を示して、治水や利水のあり方の戦略をきちんと示して、誰が見てもダムじゃない治水ができると思っているようなところから変えていかないといけないと私は思っています。しかしながら、先程のような記者会見の発言を見ると、公約実行というのが公約に書いてあることしか実行することができないという話になってきます。ですから私としては、宮本さん、今本さん、また久方ぶりにお目にかかった五十嵐さん、天野さん、そして沖さんの話に大変感銘を受けました。日本の制度を改めることの象徴がこの川の問題の治水利水ということなんではないかというふうに思っています。今日の会合に参加できたことをありがたく思います。