長良川河口堰 ゲートが閉鎖されて・満10年
環境悪化をくいとめ・ゲートの開放をめざして

市民集会・岐阜
報告


2005年7月10日、河口堰建設に反対し、長良川を守る岐阜県民の会が
主催した市民集会に参加してきましたので
簡単ですがその様子をご報告いたします。

集会の主旨

日時 05年7月10日(日)午後2時より4時まで
会場 岐阜市民会館・本館2階第1集会室



(1)報告「10年を経過しての長良川の環境問題について」
河口堰建設に反対し、長良川を守る岐阜県民の会の
事務局の檜皮先生の挨拶の後、運用10年の間に明らかになった環境問題についてお話がありました。

・山内克典氏(岐阜大学教授・長良川下流域生物相調査団長)
 山内先生は運用後に衰退してしまったヨシ原や
激減したシジミについて写真をもとに説明された後、
長良川河口堰上下流の低質の様子や河床の
変化についてお話くださいました。

2004年の大洪水の際にも河床のヘドロは流されず、
その上に砂が堆積したそうです。
堰の上流のみならず、下流でも底泥堆積があるそうです。
浚渫の効果はかなり失われてしまったようです。

・粕谷志郎氏(岐阜大学教授・長良川下流域生物相調査団)
粕谷先生は岐阜県や国土交通省のデータをもとに
アユやサツキマスが激減しているとお話されました。
天然遡上のアユはほとんどいないようです。
サツキマスの漁獲も今年はたったの36匹だったそうです。

また高濃度の環境ホルモンも検出されており、
以前には見られなかったメスの頭部とオスの交尾器をもったユスリカが
20km地点では15.8%も見つかっているとのことでした。

(2)現地からの特別発言

・五家和重氏(河口堰を考える会−長島  桑名市会議員)
五家議員は長良川河口堰の建設理由とされている塩止め機能について、
塩水が逆流することがあり、長良川河口堰建設の根拠がなくなってしまったとお話されました。
長島の人々の多くは長良川河口堰の撤去を望んでいるとのことでした。

・宮崎武雄氏(長良川河口堪の水を考える会−半田市)
長良川河口堰の水を飲まされている宮崎さんは、
長良川河口堰の水がくるようになってから、お風呂に入るとぴりぴりするとか、
金魚が死んでしまったとかの話を聞いたそうです。
半田の人たちは、各家庭に浄水器を取り付けて自衛している人が多いそうです。

先日の中日新聞に「渇水時の必要性は認めざるを得ない」と
宮崎さんがコメントしたという記事が出ていましたが、その前に
「他のいろんな方法で手を尽くしてもだめな場合は」と言ったのに
その部分がカットされていたそうです。

実際には長良川河口堰の水に塩水が入ったときや郡上で有毒物が
長良川に流れたときは木曽川からの水に切り替えていて
すぐにでも切り替えてほしいとおっしゃっていました。
工業用水や農業用水は木曽川からで、飲み水は上流からの排水が流れ込んだ
最下流の長良川の水を飲まされて、人体実験されているとのことでした。

・古田尚生氏(長良川中央漁協組合員)
古田さんによると長良川にアユだけでなくウグイなどの魚も少なくなったそうです。
アユを食べるカワウも少なくなったとのこと。
サツキマスは昨年の20分の1しか獲れず、天然アユも時期はずれに
きわめて小型のアユが見られるだけとのことでした。

・松山 覚氏(郡上漁協組合員)

松山さんも友釣りできるような天然アユはほとんどいなくなったとお話されました。
また上流で高速道路や林道などが増えて、山の保水力がますます低下し
雨が降るとすぐに増水してしまうとういうことでした。

(3)質疑・討論−国民へのアピール発表
事務局の加藤さんの司会で質疑応答がありました。
ヘドロが洪水でも流れないのかとか、河口堰と砂浜の衰退の関係、
今後の運動の進め方などについて質問がありました。
また粕谷先生と宮崎さんが渇水時に長良川河口堰の水を使うというのは
無理だという説明をされ、山内先生は1994年の渇水時のように
農業用水とのやりくりで対応すべきだと発言されました。

最後に「長良川河口堰のゲート開放をめざして」というアピールを採択して
閉会となりました。
県民の会では「長良川河口堰のゲートの開放を求める国会請願」の
署名を集めているそうです。詳しくは下記の県民の会の事務所まで
お問い合わせください。

河口堰建設に反対し、長良川を守る岐阜県民の会 事務所
岐阜市美江寺町2-1(岐阜県教育会館内)


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