2024年長良川下流域環境観察会報告
2024年6月2日 よみがえれ長良川実行委員会主催の「長良川下流域環境観察会」にスタッフとして参加してきましたので報告です
今年は、午前中が干潮なので立田大橋上流の木曽川に集合、干潟の観察から始まりました
参加者は報道関係者含め18名でした
開催の挨拶の後、さっそく干潟に出て観察です
少し探すとモクズガニ、ベンケイガニ、ハゼ科の仲間のチチブ、ヤマトシジミなどの生き物を見ることができます
干潟には小さな穴が無数に開いています
この穴の中にはイトメが棲んでいて小さいスコップで掘るとすぐに見つかります
イトメが棲むことで泥の中に酸素が供給され、イトメがいなくなると泥がヘドロ化するそうです
長良川下流域生物相調査団の千藤先生からは、木曽川の干潟の植生や生き物などを観察しながら、
汽水域がなくなった長良川との違いのお話を聞きました
この後、河口から9.8キロ地点の背割り堤を挟んで長良川と揖斐川でカニの生息比較調査です
まず長良川の河原で、全員で3分間カニを探します
果たして結果はご覧の通り
当然左のバケツが長良川、右が揖斐川ですね
揖斐川ではクロベンケイガニ メス2 オス12 の14匹
ベンケイガニ メス20 オス24の44匹で総数は58匹でした
千藤先生によると、長良川のベンケイガニは揖斐川から背割り堤を歩いて渡ってきたものと考えられるとのことでした
カニの生息は、餌として有機物を分解し、結果として水質改善を担う役割があり重要なことだそうです
午前中はここまで、午後からは乗船して川の環境調査です
七里の渡し公園の船着き場から2艘で出船
まず揖斐川の川底の砂泥を採泥器で取ります
取れた砂泥がこれで、ほぼ砂でヤマトシジミも結構入っていました
調査船をお願いしたオオゼキさんによれば、今年はヤマトシジミが豊漁だそうです
砂泥中に酸素が含まれる目安である酸化還元電位はプラス221
次は長良川ですが、観察会の少し前に大雨が降り増水で河口堰を全開にした期間が有り
採取した物はヘドロの上に砂泥が重なって2層になっていました
長良川の酸化還元電位はマイナス254でした
河口堰が全開の期間があった事で酸素が供給されマイナス値が少ないのではと予想していましたが、
予想よりマイナス値が大きかったのが意外でした
もちろん酸素が無い状態なので生物は生息できず見つかりませんでした
次は河口堰上流のヨシ原の観察 閘門を通って上流に向かいます
閘門を通過するのに待ち時間がかなりあるので河口堰も撮影
2024年6月2日のヨシ原の状態です
河口堰完成後人工的に作ったヨシ原でしたが、
今はほとんどが枯れたり浚渫によって土砂が流されて倒れたりして無くなり、
このように歯が抜けたような状態になっています
カニの生息調査でも判るように、ヨシ原は生き物にとって大切な生息地であり、
長良川のヨシ原の、河口堰ができる前と現在の様子の違いを説明され、
環境が破壊されていく状況を目の当たりにして皆さんなんとも言えない表情をされていました
このあと最後に愛知県の取水口を見て湊に帰り解散となりました
時折小雨がパラつく1日ではありましたが、本格的な雨になることはなく無事に全行程を終えることができました