「長良川DAY2006」での発言(要旨)
2006年9月2日 
河口堰に反対し、長良川を守る岐阜県民の会
運営委員長 加藤守


(1) 長良川河口堰に対する市民の関心は依然として高い。

県民の会は毎月1回、岐阜市柳ヶ瀬で国会請願署名の街頭行動を展開。
1時間で1人の署名板に15〜20名の方が署名に応じられる。
これは他の各種の署名と比較して高い水準。
このことは"河口堰をなんとかしてくれ"という要求と関心が
市民の中で非常に高いことを示している。

(2) 堰建設の主要目的であった「利水計画」は完全に破綻している。

@ 当局の利水計画は、工業用水14.8立方m/s(愛知・三重)、上水7.7立方m/s(愛知・三重・名古屋)。

A 実績は、本格運用開始後満11年経過したが工業用水は一滴も売れず。
当局は困って、愛知・知多地方に、1.6立方m/sを受水地住民の反対を押し切って強行給水。
三重・中勢にも給水していると当局は言うも、これは真っ赤なウソ。
実態は河口堰とは全く関係なく数十年前から稼動している
北伊勢工業用水(長良川、木曽川、員弁川からの取水)の水が
余っている(9.6立方m/sのうち4.9立方m/sを使用)ので、
その一部を上水として三重・中勢地域に給水しているだけ。

(3) 長良川河口堰は治水にとって何の役にも立っておらず、むしろ危険な障害物になっている。

@ 河口から30km地点から下流にかけて2,400万立方mを浚渫した(中部整備局)。
したがって堰はもう要らない。増水時危険。
さらに河口堰上流域の左岸のコンクリート堤防に大きな亀裂があることが最近見つかっている。
三重・長島はもともと海抜0m地帯である。

A (例)岐阜市では治水にとって全く関係ない。
同市の長良川の警戒水位は18.54m(長良川橋地点)。
04年の23号台風時21.53mの水位となり、同市の一部地域に避難指示発令。
これは76年の安八町破堤時(水位21.50m)を突破している。

(4) 環境問題(別の方が報告)


(5) 長良川河口堰が社会生活(活動)に及ぼしている深刻な影響。

@ 鵜飼乗船者数の激減。
・岐阜市の長良川鵜飼。73年の過去最高時と比較して04年(過去最低)は29.7%に。
 (05年は愛知万博の余波で若干増加した)。
・長良川河口堰とは全く関係のない犬山市の木曽川鵜飼は、
 79年の最高時と比較して04年は38.5%を維持している(05年は愛知万博の余波で若干増加した)。
・以上から鵜飼の乗船者の減少の原因に長良川河口堰が影響していることは明瞭である。

A アユの釣り人は3分の1に。
・郡上漁協の場合、アユの友釣りの日釣券の販売数は、
 河口堰ゲート閉鎖前々年の93年には16,468枚だったが、
 05年には6,136枚と約3分の1に減少している。
・釣りに関係する各種業界、観光業に甚大な被害。

(6) 河口堰に反対し、長良川を守る岐阜県民の会の活動紹介と今後の展望

@ 現在、県民の会は第7回目の国会請願署名運動(ゲート開放等の要求)を展開中。
第6回は本年5月、民主、共産、社民の3党の19議員の紹介で衆参両院議長に提出。

A 毎年3月に県議会への請願提出。昨年の場合、
自民党の1議員(ある漁協の幹部)が県土整備委員会で請願採択に賛成。
これは歴史上画期的なこと。昨年も今年も民主、共産の賛成少数で不採択となったが、
県政も少しずつ動いている。

B 毎年「ゲート開放を求めての市民集会」を、ゲートが閉鎖された7月6日前後に岐阜市で開催。
今年は昨年(満10周年)より参加者が増大(70余人)。特に2つの漁協の幹部が参加発言。
全く新しく、初めての参加者が3分の1以上となった。
 なお、県民の会は毎年5月、「天然稚アユ遡上見学会」を行い、
揖斐川筋と同時に長良川河口堰の魚道を点検している。
揖斐川筋では天然稚アユが遡上しているが、
長良川河口堰の魚道では遡上はほとんど観察できない。

C "河口堰をなんとかしてくれ"という新しい動きと広がり、うねりに依拠して、
当面ゲートを開放せよ、せめて天然アユが遡上・降下する時期は開放せよという一点で、
長中期と短期の政策と方針をもって進めば、
必ず展望を切り開くことが出来ると確信しています。