姫田忠義監督は,ダムによって消されようとしている豊かな自然と遺跡の村を15年の歳月をかけて追い続けた。この作品には,山を離れ移り住むことを強いられた村の人たちの口惜しい思いが満ち溢れている。「どうやって暮らしていったらいいのか」,{先祖に申し訳ない」。
くらしの隅々に息づいていた伝統の知恵と技術,それはひとびと結びつける絆でもあった。そのようなふるさとの文化を根こそぎ破壊するダム・・・
ドキュメンタリー映画「越後奥三面」は,日本のふるさとを見事によみがえらせるとともに,公共の名の下に人間の絆を断ち切るダムを静かに告発している。