長良川ネットワークメールニュース   vol.15  2003年3月1日

「世界水フォーラム」が近づき、事務局も忙しくなってきました。
おかげさまで現在のところ参加希望者も100人を超え、
まずまずのすべりだしです。

しかし、参加費が¥8000という高さ。海外からの参加者は、
航空運賃も含め大変大きな負担をかかえて参加しなければなりません。
このような理由もあり、「世界水フォーラム」に参加できるNGOは、
大変限られています。

私達もかなり厳しい条件をクリアしてセッションへの
参加資格を得ることができました。
当日は与えられたチャンスを最大限に生かし、
有意義なシンポジウムにしたいと思っています。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【今日のお知らせ】 

■ 《ここにも長良川の運動が生きている》  『河川工学者』
紹介記事  2003年2月3日 朝日(夕刊) ―窓― 論説委員室から
■ =アメリカのダム撤去の現状=
■ =河川局のダム必要論=
■ 3月21日(祝)世界水フォーラム参加セッション 「ダム建設は必要か?」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

『 河川工学者 』
2003年2月3日 朝日新聞(夕刊) ―窓― 論説委員室から

 国土交通省の第三者機関の淀川水系流域委員会が
「ダムは原則として建設しない」という提言を出した。
2年前に委員を引き受けたとき、今本博健さん(65)は
「治水、利水面からダムは必要だ」と考えていた。

京大防災研究所長などを務めて一昨年春、京大教授を定年退職した。
専門は河川工学。国土交通省に技術官僚として入った教え子も多い。

定年が近づいたころから、ダムや堰の建設は
「無駄な公共事業」と評判が悪いことが気になっていた。
「長良川河口堰に取り組んだ技術者たちは、どんな思いで仕事をしたか。
胸を張れず、まともに顔も上げられないで・・・」

淀川水系で計画中の5ダムの現地に足を運んだ。
その一つの滋賀県余呉町の丹生ダムは、
洪水調節と京阪神への水道水供給が目的とされる。
前者はある程度分かっても、後者は「京都や大阪に
お金を出させるための理屈」としか思えない。
「心を打たないダム」と映った。

治水、利水に役立つダムは必要だ。しかし、環境に与える悪影響は大きい。
この問題をどう解くか。考え抜いた結論が提言に反映された。
よほどのことがない限り、ダムはつくらない。
代わりに堤防を強くし、災害に強いまちづくりを進める。
節水や水の再利用などによって水需要そのものの抑制を図る。

国交省が「ダムは必要」と反論してきた時はどうするか。
今本さんの仕事はまだ終わっていない。<大峯伸之>


●=アメリカのダム撤去の現状=

アメリカではダム建設および運営が、環境的、経済的、そして社会的に
我々に犠牲を強いてきた存在であることが近年、明らかとなってきた。
また、同じく最近、多くのダムの老朽化、ダムの社会的価値、
およびダムがもたらした結果に関する科学的知識に基づいた研究結果により、
ダム撤去に関する関心も呼び起こされた。

ダムの歴史の中で、アメリカはダムを経済的な利益の追求のために
河川の集中利用および開発を支持してきた。
アメリカの伝統的な川に対する認識は守るべき生態系というよりは
水資源を提供するものなのである。

しかしながら、ここ数10年で、川の環境特性、絶滅危惧種、
美観に関する関心が高まり、国家の川に対するあり方が問題となってきた。
また、ダムの安全性・防犯、安全でないダムによってもたらされる下流域のリスク、
将来老朽化するダム建造物に対する懸念もより明らかになってきた。
ダムの環境、安全問題は地域、地方、および国の政治にとってその政策の一部になった。

アメリカにあるダムの大部分は貯水量が100エーカーフィート以下の小規模ダムであ
る。
正式には所有者が分からない「みなし児」ダムもあるが、
これらのダムのほとんどは会社、自治体が所有している。
知られていないが、既に500以上の小規模で流水を利用する
多くのダムが撤去されたと見られている。

環境の面からもダムを撤去する非常に多くの理由があり、
撤去はしばしば地方、州政府によって支持されている。
そのほとんどのダム撤去はダム所有者が
その様々な経済的利益を求めて撤去が決められた。

個人所有のダム撤去の決定は個人的レベルでの決定事項であるが、
国や自治体の決定は、それぞれの法律問題が絡むので、
もちろん公共的な手続きレベルの問題である。
昨年2002年には、「ダム撤去」に反対するブッシュ政権のもとで、
63という記録的なダム撤去が決定した。


◆ = 河川局のダム必要論=

1、わが国は、急峻な地形、梅雨期と台風期に
豪雨が集中するという厳しい自然条件下にある。
このため、一度大雨が降ると、河川に水が一気に流れ出し洪水をもたらし、
日照りが続けば、川の水が少なくなり水不足となって、
生活や経済活動に大きな影響を与える。

2、全人口の50%、資産の75%は、
河川の下流域に広がる河川氾濫域(国土面積の10%)に集中するという
わが国の国土利用形態は、欧米と比べ特異なもの。
下流域の河川周辺は、高密度に利用されており、
洪水に対応するためだけに川幅を拡げておくことは、
国土の有効利用の観点から不適切。
また、下流域で高度利用されている土地の標高は一般に低く、
堤防を嵩することは、一旦火災が発生した場合、
返って被害を大きくすることを避けることが治水の原則。

3、このため、洪水を防御し、水が豊富なときに水を貯めて
水不足の時に補給するダムは、
わが国の国土条件下では有効な河川整備手法の一つ。
古来より、わが国では狭山池(616年完成、大阪府)や
満濃池(700年頃完成、香川県)などのダムで
安全で安心した生活を確保してきている。
日本の平均寿命の伸びは、上水道給水人口、
上水道のダム容量の増加と同じような傾向を示している。

4、また、ダムによる水力発電は、
化石燃料の消費が極めて少ないクリーンエネルギー。

5、河川の整備にあたっては、最初からダムを排除することなく、
また、ダムにこだわることなく、個々の河川や地域の特性を踏まえて、
堤防や遊水地、ダムなどを総合的に検討し、
最も適切な組み合わせで実地することが必要。

 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


●3月21日(祝日)  世界水フォーラム参加セッション 
                 
主催 公共事業チェックを求めるNGOの会
「ダム建設は必要か?(Are dams constructions necessary?)」
【全国と海外のNGO、労働組合員、ジャーナリスト、市民の、広範な参加を求めます!】

日時  2003年3月21日(金・祝) AM 8:45〜11:30
会場  京都国際会議場  会議室 ROOM B-2       定員  200名
世界水フォーラム入場料  8,000円 (高いのです!)当日券は会場でお求め下さい。
               
≪プログラム≫
@ 基調講演「日本におけるダム撤去の意味」  五十嵐敬喜(法政大学教授)
A「日本の“脱ダム”事情と問題点」  天野礼子(公共事業チェックを求めるNGOの会
代表)
B 現地報告                  
黒部川 「日本初のダブル排砂と漁民の苦しみ」    佐藤宗雄 
(黒部川 関西電力・出し平ダム排砂差し止め裁判原告代表)
球磨川 「荒瀬ダム撤去が決まった球磨川に川辺川ダムは必要か」高橋ユリカ(ルポライ
ター)

C「アメリカにおける大型ダム撤去の現状」  デビッド・ウェグナー  David Wegner
(元開墾局生物学者・環境コンサルタント)[同時通訳 青山己織]

*同時開催予定 写真展「ニッポンの川はすくえるか」(photo by 伊藤孝司)

●「ダム撤去!」にむけて、皆さまからのカンパを募ります!
入場料が取れないので、赤字覚悟の開催です。是非ご協力ください。

●カンパの送り先  
郵便振替 00840-8-125403 公共事業チェックを求めるNGOの会

●問合せ先
〒500-8432 岐阜市畷町2-2  
TEL 058-272-8495 E-mail kjc@mx1.ktroad.ne.jp

------------------------------------------------------------------
長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
長良川河口堰建設に反対する会
発信 高木邦子
http://nagara.ktroad.ne.jp/
nagarask@mx1.ktroad.ne.jp
  


バックナンバーリストに戻る  ホームに戻る