長良川ネットワークメールニュース
Vol.16  2003年 3月29日

《転載 転送歓迎》

=今日のお知らせ=

■ 世界水フォーラムの報告

■ 「河口堰ゲート開放求め県議会に請願」 

■ 「長良川河口堰訴訟  住民訴訟の対象と認定」 

■ 「徳山ダムの建設費差し止め訴訟結審 」

■ 本の紹介 「川とヨーロッパ」保谷野初子著

■ 長良川問題をはじめ世界の環境破壊の現場
  を追い続けるフォトジャーナリスト伊藤孝司氏の
  ホームページ開設のご紹介 

■ 市民版憲法調査会
  市民版憲法作成へのシリーズ学習会 第10回のお知らせ



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3月21日、京都国際会館において、KJC〔公共事業チェックを
求めるNGOの会)主催による世界水フォーラム参加セッション
が無事終了しました。

海外ゲストで来日を予定していたデビッド・ウェグナー氏は
戦争のため出国を断念されましたが、予定していた講演の内容をお送り願
えたので皆様にお知らせします。すばらしい内容ですので、ぜひご覧ください。

また新聞等で報道された「世界水フォーラム閣僚宣言」に疑問をもたれた方
も多いかと思いますが、それらについて、当会スタッフからご報告いたします。



★第3回 「世界水フォーラム」参加セッション「ダム建設は必要か?
  (Are dams constructions necessary?)」のご報告

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  「第3回世界水フォーラム」とは、なんだったのか?

リオの国際環境会議で水に関する会議が必要と決まったものですが、
決して正式な国際会議ではなく、利権企業や利権集団(世界水会議)の集まり
です。
したがって、この会議での決定事項には、なんら拘束力はないのですが、
主催者、各国政府やマスコミもこぞって、正式な国際会議であるかのように見せ
ようとしています。

・NGOの参加
これまではNGOの参加を拒絶していましたが、第3回は議長国日本の配慮から
NGOの参加が可能となりました。
これに参加して意見を述べた方が良いのか、拒否してお墨付きを与えない方が
良いのかは多くのNGOでも意見が別れましたが、「公共事業チェックを求める
NGOの会」は参加して意見を述べることを選択しました。
IRN(International Rivers Network)やFoE(Friends of Earth)なども、ダム開
発の問題と代替案を主張しました。
しかし、フォーラム内部ではNGO意見の無視や叩き潰し、傀儡メディアによる偏
向報道、非公開決議などが横行しました。

・NGOの主張 
<ダムについて>
WCD(世界ダム委員会)の勧告に従い、大型ダムは多くの未解決問題や犠牲を
伴うため、他の方法を優先的に検討すべき。

<水の民営化>
水は商品ではなく、水は人権である。現実に民営化で、とりかえしのつかない多く
の問題が各国で発生している。

・NGOの意見は反映されたのか?
閣僚宣言において、NGOの意見はほとんど無視されたといってよいでしょう。
美辞麗句が並べられていますが、NGOが強く主張した下記の2点は無視されまし
た。
 1.「WCDの勧告を考慮すべき」
 2.「水は人権である」

・WCD(世界ダム委員会)
推進派は、このWCDの勧告をとても恐れています。
なぜなら、ダム推進派、反対派の有識者が集まり、検討した結果だからです。
これをもっと活用して、各国政府がこの勧告を考慮するように求めることが必要で
す。

・水の民営化
「民営化の方が良いのでは?」との意見もダム反対市民からもしばしば聞かれます
が、

過剰な水資源計画>無駄なダム開発>公営水道の経営難>公営水道の民営化案

この構図での問題は、水資源計画を市民にとりかえすこと(水資源開発公団の解
体)こそ重要であり、単なる水道の民営化では何も解決されません。

WCDについては、下記を参照ください。日本語版冊子も販売されています(KJCニュー
ス≪スイミー≫No.71参照)
KJCのページ
http://nagara.ktroad.ne.jp/siryou/wcd.html
http://nagara.ktroad.ne.jp/press/p00-2-22.html
FoE-Japanのページ
http://www.foejapan.org/
WCDのページ
http://www.dams.org/news_events/outline_jp.htm

太田勝之(長良川河口堰建設に反対する会・大阪)

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ホームページでも当日のご報告と講演者のレジメ・プロフィールをUPしておりま
す。
http://www.ktroad.ne.jp/~kjc/030322smf.html

メインゲストのディビッド・ウェグナー氏は、残念ながらイラク戦争のため、来日
できませんでしたが、その予定されていた講演の内容がホームページに載って
おります。
これからの市民運動のあり方を考える上でも大変参考になる内容ですので、ぜひ、
ご一読ください。
http://www.ktroad.ne.jp/~kjc/030322weg.html

また、このシンポジウム開催にあたって、たくさんの方からカンパを
いただきました。ありがとうございました。
活動資金として有効に使わせていただきます。


■ 「河口堰ゲート開放求め県議会に請願」 岐阜新聞 3/6

「河口堰建設に対し、長良川を守る県民の会」(山内克典代表)は5日、
県議会にゲートの開放などを盛り込んだ請願を提出した。
請願では、長良川河口堰は、利水、治水、環境面で多くの問題を
抱えているとし
▽ゲートを直ちに開放する
▽年間を通じた開放が困難な場合は天然鮎が遡上(そじょう)し、
 降下する時期にゲートを開放する
▽ゲートを開放した上で、もう一度厳密な環境アセスメントを実地する
 の三項目について議決するよう求めている。


■ 「長良川河口堰訴訟  住民訴訟の対象と認定」 朝日新聞3/14

長良川河口堰をめぐり、三重県が一般会計から建設負担金を支出する
ことの是非が争われた訴訟で、最高裁第一小法廷(深沢武久裁判長)は
13日、北川正恭知事の上告を棄却する決定をした。
訴えを門前払いした一審判決を取り消し、「県の支出は住民訴訟の対象と
なる」として審理を津地裁に差し戻した二審・名古屋高裁の逆転判決が確定
した。県の支出に違法性があるかどうかについて、津地裁で実質的な審理が
始まる。

原告「長すぎた」

原告の成田正人・三重県桑名市議は「(原告的確性を認めない)地裁の
判断が異常だった。99年2月の提訴以来やっとスタートに立つのだが、
ここへ来るまでが長すぎた」と話した。
同県で河口堰の工業用水は現在も全く使われていない。また上水道用の
水も需要が横ばいのため、新規に給水を受けた自治体で値上げが
相次いでいる。三重県の担当者、県土利用・水資源・流域圏推進チームの
平本明大マネージャーは「現時点ではコメントできない」としている。


■ 徳山ダムの建設費差し止め訴訟結審 岐阜新聞3/27

水資源開発公団が藤橋村に建設している徳山ダムを巡って、県が建設費を
負担しているのは違法として、住民グループが梶原拓知事らに公金支出の
差し止めなどを求めた訴訟は26日、岐阜地裁(林道春裁判長)で結審した。
訴状などによると、県は同ダムから工業用水を得るため、総事業費約2540億円
のうち約280億円を負担するという。

原告は「建設負担金は特別会計(工業用水道事業会計)を設置し支出するべきで、
一般会計から支出することは地方公営企業法に抵触する」
「県は今後の水需要の予測を誤っており、無駄な建設費を支払っている」などとして
いる。

一方、被告側は「水資源需給計画は過去のデータを踏まえ合理的に作成されたもの
で、災害や渇水時を考慮するとダムは必要」と反論している。

判決の期日は未定だが、年内に言い渡される見込み。
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>>徳山ダム裁判  (徳山ダム建設中止を求める会 会報より)<<

 被告側代理人は「12月18日付けの原告側の『最終準備書面 補充書2』に対す
る反論ー『被告側最終準備書面 補充2』を出したい。」と主張。
頑張って出すのだから被告側の『補充書2』はさぞかし骨太の反論なのかと
思ったら、それまでの主張のあまり出来の良くない焼き直し。

今後も水需要が伸びる理由として強調したのが、「朝シャン・ガーデニング」です。
「シャワー付き洗面台が増加している。不況で個人消費が落ち込む中で
ガーデニング用品は売り上げが伸びている。」
「朝シャン1回で120リットルの水を使う。」

被告側は追い込まれて、とうとうここまで議論をねじまげ、矮小化してしまいまし
た。
1つの村を完全に潰し、数千億円の公金を投入し、生態系を破壊して
6億6000万トンの巨大ダムを作る理由が「朝シャン・ガーデニング」とは!!
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■ 「川とヨーロッパ」 河川再自然化という思想
   保谷野 初子 著  (築地書館  定価 本体2400円+税)

 ライン川、ドナウ川などヨーロッパで進む河川再自然化
 −堤防を取り払い、川を自然の流れに戻していく新しい治水思想。
 その広がりの背景を、景観保全運動、水資源管理政策の変遷から
 EUの河川管理法制にまでおよぶ取材で明らかにする。
 転換点にある日本の水政策の進路を指し示すリポート。


■ 長良川ネットワークでいつもご協力を頂いている
フォトジャーナリストの伊藤孝司さんがホームページを作られました。
取材した環境と戦争についての120枚以上の写真が入っています。

http://www.jca.apc.org/~earth/index.html

長良川・四万十川などを始めとする日本の自然や、アジアの環境や人権をめぐる
さまざまな問題に鋭く切り込んできた伊藤さんの膨大な写真と文を通して、今の
世界が直面している状況が見えてきます。
ぜひご覧下さい。
また、たくさんの方にこのサイトを知らせて、伊藤さんの力強い作品を見ていただ
きましょう!



■ 市民版憲法調査会
市民版憲法作成へのシリーズ学習会 第10回

日時:4月21日(月)18:30〜21:00
場所:総評会館 2階 201会議室
(千代田区神田駿河台3−22−11/Tel 03-3253-1771)
・シリーズ講座「市民の憲法」I 五十嵐敬喜(法政大学教授)
・ゲスト 武見敬三(参議院議員・自民党)
     江田五月(参議院議員・民主党)
・ディスカッション 武見敬三・江田五月・五十嵐敬喜
進行 高野孟(「インサイダー」編集長)
・会場との意見交換
資料費500円 
詳しくは 憲法どっとこむ http://www.kenpou.comまで。

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長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
長良川河口堰建設に反対する会
発信 高木邦子
http://nagara.ktroad.ne.jp/
nagarask@mx1.ktroad.ne.jp

  


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