世界ダム委員会(WCD)の最終報告


WCDの最終報告が発表されました。全体では数百ページにもなる報告ですが、その要約のそのまた要約をざっと訳してみました。ダム推進側にはかなり厳しい内容になっていると思います。
 なお、この最終報告を遵守するよう世界銀行などに呼びかけたアピールに「長良川河口堰建設をやめさせる市民会議」も賛同し署名しました。全体では39カ国から109のNGOが賛同したそうです。
 また、11月27日に東京でWCDによる最終報告の説明会が行われるそうです。

報告書は下記のホームページに掲載されています。
http://www.dams.org/report/


WCD最終報告の要約のそのまた要約

・大規模ダムは、ダム推進派が言うほどには、電力や水や洪水調節機能を提供できなかった。
・大規模ダムは予測以上のコストや工期の遅れに苦しんでいる。
・多くの大規模ダムは、その社会的、環境的コストを計算する以前の段階でさえ、非経済的である。
・大規模ダムがもたらすといわれている利益を提供するためには、他のより良い技術がある。
・大規模ダムは社会的にも環境上も巨大な影響をもたらすが、その影響を和らげる努力はほとんど失敗に終わっている。
・ダム貯水池は重要な温室ガス放出源となりうる。
・大規模ダムの利益の大部分はすでに裕福な人々が手にした一方で、大規模ダムの負のコストは社会の貧しい人々に押し付けられている。

上記のような知見を元に、WCDは、既存のものから計画中ものまでに適用される、いくつかの重要な勧告を行いました。その勧告とは

・いかなる事業においても、その事業の詳細な調査に入る前に、その事業の必要性とその必要性を満たす他の選択肢についての、包括的で参加型のアセスメントがなされなければならない。
・新規のいかなる事業を立ち上げる場合でも、需要重視政策の管理方法および既存のインフラの最大限の利用を最優先しなければならない。
・いかなるダムも、そのダムによって影響を受ける人々や特に先住民や部族の承認なしに作ってはならない。
・ダムの安全性や撤去の可能性の検討をも含む、定期的な参加型の見直しがなされなければならない。
・ダムの影響に苦しむ人々への補償を提供し、ダメージを受けた生態系の回復をもたらすためのメカニズムを開発しなければならない。


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