天野礼子のニュース解説と結集要請
宮城県の浅野知事が1月18日に開かれた、県職員・県教職員・県高校教職員の三組合から構成される「三者共闘会議」との交渉の中で、「今後、ダム事業の見直しを検討する」との考えを示しました。
田中康夫長野県知事の「脱ダム宣言」に類似するものとしては、これまで鳥取県の片山知事の「中部ダム中止」がありましたが、鳥取県へはさっそく国土交通省河川局長の竹村公太郎氏が入り、シンポジウムを行なうなどして、それ以上の"脱ダム"へ発展しないように、手を打っていました。
浅野知事は、どこまでやれるかわかりませんが、「三者協議会」での説明から始めたというのは、かなり本気かもしれません。"田中ちゃん"(田中康夫氏)のように、内部から鉄砲玉が飛んでこないように考えたのでしょう。これで"脱ダム"は一気に広がるかもしれません。というよりは、私達が広げなくてはいけない、と考えます。
というのも、なぜ浅野知事が「ダム」を選んだかということです。「道路」は、数人の知事を除いてほとんどの知事が存続を望んでいます。地元の業者でもやれる簡単な事業なので、地元の業者の延命と、知事の支持基盤との関係から「やめにくい」からでしょう。
しかし「ダム」は、永年苦しんできた水没現地住民の「心」の問題を除くと、やめやすい「大型」事業です。「利水」説明はもう破綻し、「治水」では代替案もあり、また「治水」理由そのものが欺瞞であったことが知られ始めたからです。日本経済の立て直しのためにも「脱ダム」を広めるべきでしょう。
こんなところに、私たちにとってももう一つの朗報が飛び込んできました。それが、アメリカの「パシフィック研究所」と「国連環境計画」がこのたび発表した報告書です。「地球温暖化の影響も加わり、数十年後に予測される深刻な水不足には、ダムを造るという従来の方法では対応できない。」とするものです。
国土交通省河川局は、2003年に日本で開催する第三回「世界水フォーラム」を利用して、「21世紀は水争いの世紀。だから日本でもダムはまだ必要」と宣伝するつもりのようです。そして、12月には、あやしいNGO団体もできて、そこへ内外のNGOを集結させる手はずも進めつつあるようです。
パシフィック研究所
http://www.pacinst.org/
報告書のプレスリリース
http://www.pacinst.org/reports/freshwater_threats.htm
国連環境計画
http://www.unep.org/
しかし、世界中にダムを造り続けた世界銀行などが主催した「世界ダム委員会」でさえ、「ダムはクリーンエネルギーではない」と結論付けたように、今回は「国連環境計画」が協力した報告でも、「ダム」が否定されたわけです。
今こそ、日本の反ダムNGOと不必要な公共事業反対勢力が、「小異を捨て(ないでよいから)、大同団結する」ことが必要とされているのではないでしょうか。
法政大学の五十嵐敬喜教授、新潟大学の大熊孝教授、島根大学の保母武彦教授、宇都宮大学の藤原信名誉教授らと共に今、2003年の「世界水フォーラム」への対応を考慮中です。
長野の"脱ダムネット"は、"脱ダムネット・ジャパン"も設立しました。
「世界水フォーラム」への対応について反ダム・反公共事業のNGOで結集することに賛同する皆さんのご意見を「公共事業チェックを求めるNGOの会」へ急ぎ、集中させてください。
2002年1月22日
「公共事業チェックを求めるNGOの会」代表
「脱ダムネット・ジャパン」代表
天野礼子
「公共事業チェックを求めるNGOの会」
メールアドレス kjc@mx1.ktroad.ne.jp
ホームページ http://kjc.ktroad.ne.jp/
FAX 058-271-8279
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