「公共事業の"質の転換"を求めて」

公共事業チェックを求めるNGOの会のホームページに

ヨーロッパ・アメリカの公共事業最新情報掲載のお知らせ


公共事業チェックを求めるNGOの会 代表
天野 礼子 (アウトドアライター)

 1992年に私達は「長良川河口堰建設をやめさせる市民会議」を59団体が集合して結成し、94年には国会内に超党派の「公共事業チェック機構を実現する議員の会」(以下「議員の会」、後に「機構」という文字が取られる)をつくっていただき、長らく事務局をお手伝いさせていただいてまいりました。
94年12月に、米国開墾局総裁ダニエル・ビアード氏が「アメリカにおけるダム開発の時代は終わった」と宣言すると、私達は日本弁護士連合会にお願いしてビアード氏を日本に呼んでいただきました。
96年には「議員の会」や、その顧問となっていただいた法政大学の五十嵐敬喜教授と共に訪米し、アメリカでは「ダム計画の中止」から「工事の中断」「ダムの撤去」が始まりつつあることを日本中に広めました。

公共事業への風が吹き始めた
翌年97年3月国会で、亀井建設大臣が「河川法」に百年目にして初めて「環境重視」や「住民対話」を盛り込む大改訂を発表しましたが、五十嵐教授や私達は「河川法対抗案」と「公共事業コントロール法」を、社会党と民主党に提案し、民主党がこれを取り上げて、法案として提出しました。このときNGOは405団体が結集して「公共事業チェックを求めるNGOの会」を作りました。
翌4月には、あの諫早湾の298枚のギロチン堤防が降ろされ、これをジャーナリストの皆さんがいっせいに取り上げられて、"公共事業"への風が吹き始めました。しかし、実はもっと以前から、もう「公共事業が日本の経済をまわしている」という神話がウソであったことが、中央省庁のさまざまな事業を3割自治で引き受け続けていた地方自治体の財政の破綻から皆様にはおわかりいただいていたと思います。
同年には、北海道知事が「時のアセス」を発言し、翌年には橋本総理もこれを取り入れることと、行政改革としての省庁再編を発表しました。省庁再編は、口では行政改革といいながら、「国土開発庁」(今は「国土交通庁」と変更されている)という巨大開発官庁を2001年1月に誕生させてしまうものなので、五十嵐教授と私は、島根大学の保母武彦・沖縄大学の宇井純・経済評論家の内橋克人・ジャーナリストの筑紫哲也らと共に「21世紀環境委員会」を結成し、各党に「国土開発庁の誕生に反対」を申し入れました。

公共事業、世界の潮流
このたび、いまや自民党の"ミスター公共事業"とも言うべき亀井静香政調会長(元建設大臣)が動かれ、中海干拓と吉野川河口堰が中止されつつありますが、そのあとには、どんな動きが必要なのでしょうか。
五十嵐教授と私は"公共事業"が争点となった先の選挙の翌日の6月26日からヨーロッパを回り(五十嵐はその後アメリカも回った)「21世紀の公共事業」のあり方ともいえる現場をさまざま見てまいりました。
またアメリカでは「ダムの撤去」が、私達がアメリカを訪ねた96年度のように「先進的な例」としてではなく、地方自治体や州や連邦の行政府や議会や、日本でいえば自民党層の人々にさえ、いまや共通の話題で語られています。
五十嵐教授と、そのさまざまな著書の共著者である小川明雄さんと私の3人はこのたび、「公共事業チェックを求めるNGOの会」がたち上げたホームページで、3人の一番新しい見解と報告を発表させていただいております(これからもホームページで3人を始め「21世紀環境委員会」委員らの報告を続ける所存です)。

皆様の参考になさっていただけると幸いです。

アクセスは http://kjc.ktroad.ne.jp/

公共事業チェックを求めるNGOの会事務局 
メール kjc@ktroad.ne.jp FAX 058-271-8279 電話 058-272-8459

参考文献
五十嵐敬喜・小川明雄共著「議会・利権の構図をこえて」「公共事業をどうするか」「市民版 行政改革」(以上、岩波書店)他
天野礼子「21世紀の河川思想」(共同通信社)「川は生きているか」(岩波書店)「川よ」(NHK出版)他


| ホームへ戻る |