基調講演U
『「淀川流域委員会」に見る、河川局の"新河川法"軽視』
宮本 博司 (「淀川水系流域委員会」前委員長 )


長良川河口堰建設反対運動は
まさにわが国始まって以来の公共事業の大反対運動でした。
1997年、新河川法に変えたのは間違いなく長良川河口堰でした。
それによって従来の治水、水資源開発に加えて
河川環境の保全と整備という目的が加わり、
「任せてくださいから、勝手にしません」ということを法律的に位置付けたと考えていた。

しかし、近畿地整は淀川流域委員会と大戸川ダムについてのやり取りで
「説明責任を果たすまで見切り発車しない」と約束したにも関わらず
見切り発車しただけでなく、「もう流域委員会の話は聞かない」と言い、
自分たちで計画案を作り府県知事に意見を求めて提出した。

今、しみじみ思うのは、今の役人は
「自分たちは間違いがない」という思いが非常に強いのではということあり、
地域からもっとも遠いところで、地域の痛みがわからない霞ヶ関が決定するシステムが
すべての問題の根源だと考えている。

霞ヶ関にいる官僚は「新河川法」を軽視するのではなく
無視することによって流れを元に戻そうとしている。
我々は次の世代にどういう地域を残すのか、
どういう国と地域の関係、住民と行政との関係を
残すのかという分岐点にいるのではないか。

そしてこの分岐点をどっちに動かすのかは地域の力住民の力だと思っている。


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