VOL.23-3


WWFインターナショナル、長良川流域での流域管理型の生物多様性保全と水資源管理を目指した予備調査を開始
WWFジャパン自然保護室 湿地保護プログラム担当
東梅貞義

 99年5月、WWFインターナショナルは、世界的な規模で河川、干潟、サンゴ礁を含む湿地保全を目指すラムサール条約第7回締約国会議(COP7)(コスタリカ)会議の場で、「生きている水環境キャンペーン」(Living Waters Campaign)を開始することを発表した。
 このキャンペーンには二つの大きな目標がある。
目標1. 世界の最低5カ所の流域で、人間による長期的な利用と生物多様性保全のバランスがとれた持続可能な「流域管理型」の保全活動を実施する。これにより、水資源管理に対し持続可能なアプローチのモデルを示す。
目標2. 保全や回復、または効果的な管理が行われている世界の淡水湿地生態系の面積を倍増させる。これは、2千5百万ヘクタールに相当する。
  WWFはこれらの目標を、2002年までに達成することを掲げている。
 今回、長良川流域がこの目標1.の持続可能な「流域管理」のモデル地域に選ばれ、予備調査が開始されることとなった。選ばれたのは、長良川が日本の中でも自然度が高いこと、長良川の保全には全国的な関心が集まっており、今後「流域管理型」の生物多様性保全と水資源管理を、日本、さらにはアジア地域で普及させるのに効果的であると期待される、などの理由である。
 WWFインターナショナルは、WWFジャパンを通じ、地域の「長良川河口堰建設をやめさせる市民会議」と共同でこの予備調査を行う。予備調査には、長良川流域地域の研究者である岐阜大学地域科学部の粕谷志郎教授の協力を得ている。この予備調査の結果は、3月末にまとめられる予定である。この予備調査結果を基に、今後長良川流域で必要な保全策を提案してゆくことになる。
 ラムサール条約COP7では、決議「ウエットランドの保全と賢明な利用を流域管理に盛り込むためのガイドライン」も採択されており、水資源の利用と生態系の保全を「流域管理型」のアプローチで行うのが世界的な流れとなっている。


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