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長良川DAY2001レポート
文・写真 もりすぐる
ステージ上で参加者が踊り狂うというのは、初めての光景ではなかったか。
野外の集会は、いつもの如し。トークとライブがほどよく織り成され、夜店ではさまざまな名品が商われている。
折しも七夕。一年に一度の常連客が集うにはふさわしい。
喜納昌吉さんのライブでの熱狂、藤原信さんの理詰めの話、各地の漁師の窮状、
田中康夫さんのトークの含み笑い、そして各地NGOからのアピール。
動と静、理と情が渾然となって夜の闇に溶ける。黒く淀んだ長良川。
理不尽さを際立たせるようにライトアップされた河口堰、対岸の近鉄電車の灯火が、
緩やかな弧を描いて鉄橋にかかり鉄橋を鳴らす。
行ったことのないイベントを持出すのもどうかとは思うのだが、きっと郡上踊りとか
おわら風の盆なんかも、こういう雰囲気で夜の闇に溶け込んでいくのだろうか。
6台・60艇・600人
翌日もまた、いつもどおりの集会が進んでいく。そしてデモ行進。大きな声では言えないのだが、
デモ隊の先頭の横断幕は金曜日の19時に作業着手という「ドロ縄もの」。
なにしろポスター・カラーでの彩色だから、晴天に感謝である。たいへんだったんだから。
自転車が6台、カヌーは60挺。これは、とても淋しかった。
反対運動が全国規模になった要因は、釣り人やカヌー乗りが声を上げたことではないか。
それは、「利権」や「地元のしがらみ」「党派」を超えたうねりを引き起こした。
それなのに。
そういえば、何年か前まではあれだけ邪魔だった「ジェットスキー」(っていうんだっけ)の姿も見えなくなっている。
世の中、やはり不況なんだね。
ちょっと用心が必要だ。不況だから公共事業という論法は、すでに馬脚を顕してはいるけれど、
まだ払拭されたわけではない。また、「リストラ」が恐くて、あるいは人員削減の結果、
おちおち年次有給休暇もとれないという話も聞く。
河口堰反対運動を取り巻く人たちの間にも、そのような「社会情勢」の悪化があるんじゃないだろうか。
河口堰の反対運動は、旧来の運動とは異なっていたから広がりをもてたところがある。
だからこそ、反対運動を「元気よく」続けていくには、旧来の価値観や生活パターンを見なおす
(手前勝手に言えば、この運動を優先させるのに時間や金や知恵をつかうっていうことさ)
必要があるのかも知れないな。
うまく言えないのだけど。
長良川河口堰は、かなりいい線まで追い詰めた。
そして各地の運動とも連動が出来ていて、追い詰めているものもかなりある。
でも、まだ油断はできない。
そう、国土交通省や農水省、地方自治体だけが敵ではない。
ひょっとすると自分の中にも(生活が苦しいとか時間がないとかもう厭きたとか)敵が出始める時期なのかもしれないよ。
また、長良川(でも、相模川でも、吉野川でも、河辺川でも、それから、ともかくいろんなところ)で、お会いしましょう。
もりすぐる(フリーライター・千葉県市川市在住・1966年生まれ)
長良川には1993年に初めてやって来て、その日のうちに自転車隊を仕切ってしまった。
公共交通機関を愛していて、今回は名鉄谷汲線(2001年9月30日廃止予定)沿線を走って別れを惜しんだ。
本業では『障害者と街で出会ったら』『バリアフリー入門』(ともに緑風出版刊)が順調に版を重ねているほか、
日本で最も弱小な隔月刊の自転車雑誌『フィールドバイカーズ』の寄稿など、
目立たない雑誌や単行本の小商いで食いつないでいる。
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