脱ダム国際シンポジウム <ダムにたよらない総合治水を考える>
「長良川DAY」に二度来日してくださった、アレクサンダー・ジンク氏をお呼びして、
日本のモデルである長野の“脱ダム”を検証していただきます。更に今年8月に発
生した1000年か2000年に一度といわれる今回のドイツ、オーストリアの大洪水
について、ヨーロッパの新たな対応と政策転換についての最新情報を報告していた
だきます。是非、ご参加ください。
下記にジンク氏の講演の概要が載せてあります。
出演者のプロフィールはこちら
脱ダム国際シンポジウム <ダムにたよらない総合治水を考える>
日程 2002年12月12日(木) PM6:00〜9:30
場所 長野県松本市勤労者福祉センター (松本市中央4−7−26 TEL0263-35-6286)
主催 脱ダム国際シンポジウム実行委員会 公共事業チェックを求めるNGOの会
入場料 500円
問合せ先 (予約は不要です)
脱ダム国際シンポジウム実行委員会 田口
TEL 0263-33-9513
公共事業チェックを求めるNGOの会 TEL
058-272-8495
kjc@mx1.ktroad.ne.jp
●「ヨーロッパで進むダムに頼らない治水」 通訳 青山巳織
アレクサンダー・ジンク(環境管理コンサルタント、元WWFオーストリア河川専門家)
●「近自然工法による治水と自然再生」
福留脩文(西日本科学技術研究所所長)
●「撤去へ進むアメリカと、日本における“これからの公共事業”」
天野礼子 (アウトドアライター)
パネルディスカッション 「世界の潮流を受けた“長野モデル”のあるべき姿」
・五十嵐敬喜(法政大学教授・公共事業論)
・福留脩文
・天野礼子
≪特別ゲスト≫ 田中康夫 長野県知事
2002年8月の中央ヨーロッパ大洪水及び政治的結論
アレクサンダージンク、ジンク環境コンサルタント、ウイーン
1、 大洪水
2002年8月に発生したすさまじい強風と大洪水はドイツ、オーストリア、
チェコで少なくとも97人の死者を出した。また、数10万人が非難し、農
産物は被害を受け、基幹設備も破壊された。統計的に見ると、この事
件は過去最低のものであった。(実際、1000年か2000年に一度起こる
か起こらないかの大災害であった。)
たとえば、オーストリアだけを見ても、1万個の家屋が大被害を受け、
プラハ(チェコ共和国)では20万人が避難し、17の地下鉄駅も破壊さ
れた。(これは数年間にわたる交通問題を引き起こしている。)東ドイ
ツでは、洪水によって100を越す地域が150億ユーロの被害を受けた。
(うち65%はザクセン地方で発生、ザクセンで起こった被害の内、20%は
鉄道システムや文化的建造物(たとえば歴史的なドレスデンの町)の破壊、
3000万の砂袋が1週間以内に注文された。)この救援活動も戦後最大の
ものとなり、12万8000人がその活動に当たった。
2、 認められる洪水の原因
1.極端な気象状況(気候変動!)
2.現存していた洪水防御計画の不充分(たとえば古い堤防、誤った貯水池管理)
3.警報、監視、情報システムが不充分
4.危険地域での複合的建設活動(道路、建物)
5.全ての河川領域でなされた自然洪水保水地域削除。
6.水路化された川底により、流れが加速され、下流域で洪水のピーク時の水位が上昇
7.地表面を覆うことにより、雨水の浸透率が低下(ドイツでは120ha/日)
3、 対応と政治的な結論
3.1 早急な対応
1万人のボランティアと陸軍が都市と記念建造物が洪水に見まわれる事を防ご
うと努力した。2002、2003年度の政府予算の変更によって短期間の援助基金の
使用が可能となった。洪水の数日後に大規模な寄付活動も始まり、大きな寄付が
集まった。総額100億ユーロの主要な再生プログラムも決定され、(たとえば再生
のための融資制度を定めた新ドイツ洪水被害者連帯法。)ブリュッセルではヨー
ロッパ委員会が新しい災害救援基金を決定した。過去10年間に渡る河川開発
方法、および包括的な洪水防御策(=氾濫原再生)の欠乏に対する激しい批判も
起こった。
3.2重要な政策転換
2002年9月15日に開催された河川会議で、政府は来るべき洪水を防ぐため
の5つのプログラムに同意した。
この計画によると、たとえば、
@全ての河川拡張計画は2003年の初旬までに見なおしがされなければならず、
より自然な氾濫原が建設されるべきである。
A洪水の影響を受ける地域では新しいいかなる商業、居住目的の開発もしては
ならない。更に、
B自治体の洪水防御システムが作られる予定である。
C政府が環境に及ぼす影響を結論づけるまで、全ての河川交通向上を目指す河
川開発プログラムの停止の呼びかけを内容として含む勧告もある。
Dこの計画には、川が自然に膨らむように、いくつかの堤防と洪水防御柵の除去、
下流域にかかる圧力の撤去などが含まれる。ここでは又、川に氾濫する余地を
与えずに、川の周囲で建設作業を行った結果がこの被害をもたらしたとの批判
もあがった。「洪水を防ぐための全ての建築物が下流域の洪水の危険を更に増
やした。よって、非居住地に氾濫原を取り戻すために国家が努力しなければなら
ない。
とこの計画は述べている。」2004年にドイツは維持可能な洪水防御と合同で相互
連関した洪水管理をするための概念を発表する国際会議を招請する予定である。
| ホームへ戻る|