良川DAY2000 リレー報告
長良川河口堰建設をやめさせる市民会議 村瀬惣一氏による報告の要約


 長良川河口堰は、本体完成、浄水の給水開始、受水県の債務の償還も開始。残された課題は、用水供給事業としてはこれを「破棄」させることと、利水施設としてはこれを廃棄させることの2つである。

―まず第1点から―
1.
我々が長良川河口堰問題を国会に持ち込んで20年。なのにナゼつぶせなかったのか? 議員さん方は委員会で質問してくださる。だがその先がない。質問だけではダムはつぶれない。ただ、知事が受諾しなかったときだけダム計画は中止される。知事をそこへ追い込む手はないのか―。

2. 地方財政法第6条は―
「地方公営企業の経理は特別会計をもってこれを行い、当該企業の経営収入をもってこれに充てなければならない」とし、一般会計からの繰り入れは、特に定める場合を除き禁止される。
また、地方公営企業法第43条以下には―
地方公営企業が経営不能に陥った場合、県(市)は事業再建の計画を立てることで、@県(市)債を発行し、A国から利息の補給を受けられる、とある。

3. 長良川河口堰本体にかかる受水県の債務は、水道用水分が愛知222億円、三重220億円、名古屋155億円、工業用水分が愛知500億円、三重355億円(いずれも元利合計)。水道用水は98年4月から給水開始、工業用水は収入ゼロ。そこで愛知県は年額33億5000万円の貸付金を、三重県は20億8000万円の出資金を、それぞれの98年度一般会計で予算化した。
我々はこれを不法として、両県知事に対し、支出差し止め→賠償請求の住民訴訟を起こした。愛知県では98年7月原告34人で、三重県では98年11月原告10人で。なお岐阜県では徳山ダムの工業用水分のうち、84億円をすでに前納しているので、99年1月、原告43人で提訴している。見通しは予断を許さないが、これに勝てば、河口堰に「引導」を渡すことができる。ご注目いただきたい。

―次に第2点―
4.
ハナシが前後したが現況を報告する。
堰本体は94年3月工費1500億円で完成、受水県の債務は申し上げたとおり。水道用水の方は98年4月、供給開始。供給先は、愛知県が知多の4市5町、導水施設のための追加投資が328億円、三重県は中北勢全域、追加投資1128億円。両県とも在来水源に大量の余裕があるのに!

5. 水質と環境の悪化は著しい。すなわち堰から上流25kmの区間は流れが停滞して藻類が増殖、夏季、水道用水は腐敗臭がする。また堰で遮断されて仔アユの遡上が阻害されるので―上流部は人工アユで補えるが―下流部の漁協の収穫は5分の1に落ちている。さらに河口付近にはヘドロが1m以上堆積し、シジミが全滅した。
要するにゲートを引き揚げ、給水をやめ、在来水源へ戻せばよいのだが、それでは投資の回収が不可能になるとして両県が抵抗するのは必定だろう。このネックを突破する道はとくに国会の場における強力なサポートが不可欠。今度こそ「政治」の有効な介入を求めたい。


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