はじめに

 長良川河口堰の運用によって長良川・揖斐川の自然環境に重大な変化が起きることが予想される。 流域住民、特に漁業者にとっては、生活に直結する問題だけに、その変化を科学的に明らかにすることが必要である。 河口堰運用後、建設省・水資源開発公団によって大規模なモニタリング調査が行われているが、 問題によっては調査方法に不十分な点があり、環境変化の実態が把握されていない。したがって、 住民サイドが調査を行い、問題点を明らかにすることは重要であろう。
 1996年7月1日、長島町の住民、長島町役場職員、水資源開発公団職員、 長良川下流域生物相調査団のメンバー等が参加して会議を持ち、「長良川および揖斐川のシジミ類調査について」相談した。 その結果、長島町住民、漁業者、長良川下流域生物相調査団のメンバー等が参加して、 シジミ類の生息状況を中心に長良川・揖斐川の環境調査を実施することになった。なお、長島町は当面、 調査を援助することになった。
 本報告では、主として1996年に実施した堰下流の物理・化学的環境および底生動物相の調査結果について報告するが、 自然環境の変化をより広く把握するために、長良川下流域生物相調査同が独自に行ってきた調査結果についても報告し、 考察を深めたい。


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