VOL.27-6

2002年8月の中央ヨーロッパ大洪水及び政治的結論
 アレクサンダージンク、ジンク環境コンサルタント、ウイーン
カール・アレクサンダー・ジンク
Karl Alexander Zinke
ドイツ人
元WWFドイツ、オーストリア所属
中央・東ヨーロッパ環境管理コンサルタント
オーストリア、ウィーン在住

1、 大洪水
2002年8月に発生したすさまじい強風と大洪水はドイツ、オーストリア、チェコで少なくとも97人の死者を出した。また、数10万人が非難し、農産物は被害を受け、基幹設備も破壊された。統計的に見ると、この事件は過去最低のものであった。(実際、1000年か2000年に一度起こるか起こらないかの大災害であった。)

たとえば、オーストリアだけを見ても、1万個の家屋が大被害を受け、プラハ(チェコ共和国)では20万人が避難し、17の地下鉄駅も破壊された。(これは数年間にわたる交通問題を引き起こしている。)東ドイツでは、洪水によって100を越す地域が150億ユーロの被害を受けた。(うち65%はザクセン地方で発生、ザクセンで起こった被害の内、20%は鉄道システムや文化的建造物(たとえば歴史的なドレスデンの町)の破壊、3000万の砂袋が1週間以内に注文された。)この救援活動も戦後最大のものとなり、12万8000人がその活動に当たった。

2、 認められる洪水の原因
1.極端な気象状況(気候変動!)
2.現存していた洪水防御計画の不充分(たとえば古い堤防、誤った貯水池管理)
3.警報、監視、情報システムが不充分
4.危険地域での複合的建設活動(道路、建物)
5.全ての河川領域でなされた自然洪水保水地域削除。
6.水路化された川底により、流れが加速され、下流域で洪水のピーク時の水位が上昇
7.地表面を覆うことにより、雨水の浸透率が低下(ドイツでは120ha/日)

3、 対応と政治的な結論
3.1 早急な対応
1万人のボランティアと陸軍が都市と記念建造物が洪水に見まわれる事を防ごうと努力した。2002、2003年度の政府予算の変更によって短期間の援助基金の使用が可能となった。洪水の数日後に大規模な寄付活動も始まり、大きな寄付が集まった。総額100億ユーロの主要な再生プログラムも決定され、(たとえば再生のための融資制度を定めた新ドイツ洪水被害者連帯法。)ブリュッセルではヨーロッパ委員会が新しい災害救援基金を決定した。過去10年間に渡る河川開発方法、および包括的な洪水防御策(=氾濫原再生)の欠乏に対する激しい批判も起こった。

3.2重要な政策転換
 2002年9月15日に開催された河川会議で、政府は来るべき洪水を防ぐための5つのプログラムに同意した。
この計画によると、たとえば、

@全ての河川拡張計画は2003年の初旬までに見なおしがされなければならず、より自然な氾濫原が建設されるべきである。

A洪水の影響を受ける地域では新しいいかなる商業、居住目的の開発もしてはならない。更に、

B自治体の洪水防御システムが作られる予定である。

C政府が環境に及ぼす影響を結論づけるまで、全ての河川交通向上を目指す河川開発プログラムの停止の呼びかけを内容として含む勧告もある。

Dこの計画には、川が自然に膨らむように、いくつかの堤防と洪水防御柵の除去、下流域にかかる圧力の撤去などが含まれる。ここでは又、川に氾濫する余地を与えずに、川の周囲で建設作業を行った結果がこの被害をもたらしたとの批判もあがった。「洪水を防ぐための全ての建築物が下流域の洪水の危険を更に増やした。よって、非居住地に氾濫原を取り戻すために国家が努力しなければならない。

とこの計画は述べている。」2004年にドイツは維持可能な洪水防御と合同で相互連関した洪水管理をするための概念を発表する国際会議を招請する予定である。


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